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第7話 フィンランドのアアルトスツール

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日本とロンドンの、賃貸住宅事情における大きな違いは、家具の有無であると言っていいでしょう。
つまり、ロンドンのフラット(アパート)には初めからベッド、ソファ、テーブル、照明、食器、カトラリー
などが備え付いているわけであり、1年間といった短期滞在をするひとにとってはありがたいことでは
あったりします。

ところが、言うまでもなく家具が付いていることによって発生する問題もあるのです(世界にはあらゆる
問題がついてまわり、僕らはその一つ一つを解決、時には妥協する事によってしか前に進む事はできません)。

具体的に例を挙げるならば、その物件の立地条件も、部屋からの眺めも、隣人の顔ぶれも完璧だったとしても
備え付けられた家具のセンスがいかんともしがたいということだって往々にしてあることなのです。
家具のセンスというのはすなわち、その物件の大家次第ということであり、そのセンスが立地条件その他
すべてを台無しにだってしかねないのです。

さて、本題に入りましょう。

僕が入居しているフラットからは幸運にしてロンドンアイ、ビッグベンを遠目に目にすることができ、
大家はというと(その正確な正体は不明なのだが)写真を学ぶ英国人女性でありました。
僕の使うカメラがペンタックス67だということを知ると感動され、ミディアムフォーマットカメラを使っての
実習が翌週からあるのだという話しもきかされました。

彼女のセンスで選び抜かれた家具(食器)はどれも見事で、僕にとっては大家のセンスで物件が無駄になる
どころか、真逆の成功をおさめたのでした。

その中でも特に、僕が愛するフィンランドのデザイナー、アアルトのスツール&テーブルは帰国と同時に
担いで持ち帰りたいくらいのものであり、残された時間が3ヶ月を切ったという事実を認めたくない大きな
理由の一つともなっています。

次回は、【第8話 アラビアのコーヒーカップ】