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第3話 オランダのヴァン・ゴッホ

monsoon photo

ヴァン・ゴッホ、レンブラント・ファン・レイン、クロード・モネ、ウィリアム・ターナー・・・

世界に散らばる名画の多くを実際に訪れ、目にすることを続けています。日本では、写真展を訪れることはあっても、こういった画家による名画を実際に目にする機会はありませんでした。もちろん、その多くがヨーロッパにあり、ごく稀にしか来日しないという事実と来日したところで(会場に殺到する極東の人々によって)自分のペースで絵画を味わうことなど到底不可能だというあきらめの気持ちからでした。

そんな僕がゴッホによる絵画を初めて目にしたのは2008年1月のことでした。韓国で大規模に開催されていたゴッホ展期間中に偶然にも時を同じくして訪韓していたのです。「殺到する極東の人々の一部」となって僕は、それでもかなりの時間をかけて一枚一枚鑑賞していきました。

ひとりの小さな人間として僕は、ゴッホの作品がとても好きになりました。そしてその人生についても興味を抱くようになりました。どのような時代に、どこで、どのような心境でその画を描いていたのか。ゴーギャンとの共同生活と不和、そして自らの耳朶を切り取るといった奇行に至る過程、自らの精神を治めるために訪れた南フランス、最期を迎えたパリ郊外と最後に描き上げた作品に漂う死相。弟に宛てた多くの書簡はペーパーバックとして書籍化され、その一文一文もつぶさに読みあさりました。

そして2008年5月、僕はアムステルダムのゴッホ美術館を訪れました。いくつかの作品とは4ヶ月ぶりの再会であり、そしてその他の多くの作品は初見となりました。およそ120年前にこの世を去った、描くことによって生を保っていた人物の作品はとても強く心に残っています。

次回は、【第4話 フランスのエッフェル塔】

Text and Photo by SHIMA from London

コメント (1)

satosy:

日本ではフェルメール展が行われています。
フランスで美術館を巡る快感を覚えてから、久しく絵画をみていない。
銘画を間近にするという行為はエネルギーがもらえること。すばらしい事。

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