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第2話 エジプトのピラミッド

monsoon photo

屋上に上れば遠く視線の先に三つのピラミッドが見えるホテルに宿泊しました。
三ツ星とは言えど、停電もすれば雨漏りもする(雨は降っていなかったのだから、あの水はなんだったのだ)
ところがとてもエジプトらしいのです。ホテルの眼下を走る幹線道路からは夜通しならされ続けるクラクションが
部屋の窓越しに僕の眠りを存分に妨害し続けてくれました。この国にいけばいとも簡単に混沌とか無秩序といった
あまり馴染みのない概念に遭遇する事ができます。これくらいの確率でオーロラが見られるのなら僕は迷わず
冬の北極圏を目指すのですが。

極めつけの出来事は、僕のスーツケースを部屋まで運んでくれた初老のポーター。

日本のガイドブックが定義するところの「ポーターにはこれくらいの額のチップを渡しましょう」という額を渡した僕に
「これじゃぁ何も買えやしないよ」とはっきり英語で口にし、更なる紙幣を求めてきたのでした。これ以上のチップ
がもらえないと悟ると彼は「アメリカ人は10ドルはくれる」という言葉を残してあからさまに不機嫌な態度で
去って行ったのです。混沌とか無秩序の一部を僕の部屋に残して。

「ポーターには気前よく10ドル渡しましょう」とアメリカのガイドブックに書いてあると考えるよりはむしろ、
「むしれるお金はむしりましょう」と彼らの心の中には刻まれているのだと考えることにしました。

生きるということはそういうことでもあるのです。

次回は、【第3話 オランダのヴァン・ゴッホ】

Text and Photo by SHIMA from London

コメント (1)

うちらの新婚旅行を思い出しました。
あの時の光景がつい昨日のようです。
あの街の喧騒、混沌そして寺院の静けさのアンバランスさは
行った人でも表現するのは難しいよね。

うちらはポーターは断ってました。みんな目がギラギラしてたので。

でも、早朝の礼拝前のミナレットから流れる
アザ−ン(呼びかけ)の声とともに太陽が昇る風景や
掃き清められたモスクの荘厳さは
今でも頭の中に鮮明に記憶されている光景だよね。

考えてたら、また行きたくなってきた・・・

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